過去が過去に過去を活き還る♪

過去が過去に過去を活き還る♪

vol.7

2010.10

過去が過去に過去を活き還る♪

とろんの「右巻きアートエッセイ」 プロフィール

初の竹馬の上での危険な笑顔(かよさん IN 福山HIPPIE MARKET)

 今年2月15日に発狂しながら85歳で逝ってしまった我が父。彼が今の総社の町に移ってきたのが30数年前のことで、土地を買うのだと言って分厚い1万円札の束を数えていたシーンが妙に記憶に残っている。そのころ20代だったボクが来年60歳になり、そのころ植えた小さな苗木が、今、2階建ての屋根をも越える勢いで成長していて、そのころまわりは純粋田園風景だったのに、今、2階建ての家群が建ち並び、東西南北、我が家はすっかり取り囲まれた状態だ。
 この今や四面楚歌的我が家に住みはじめて3年になろうとする今、それに抗するかのように隣との「国境」を越え膨らみゆく木々たち。このごろやたらに、その巨大化し越境してしまった木々たちが目についてきて、さすがのボクも軍手をはめて立ち上がり、両刃ノコと大きな剪定バサミを用意して、玄関前の一番デカク成長した木(いまだに名前がわからないほど、ボクは無関心なのだ)に梯子をかけた。この木の先端部分は、すでに空中の電線を包もうとしており、秋には隣の玄関前の庭に大量の枯れ葉がふり注ぎ、毎年謝りつづけている「問題木」だったのだ。

 3メーターほどの鉄梯子の先端まで立ち登り、隣に伸びゆく枝を手当たり次第にめった切りし、あの対称美の木がアンバランスになり「へんちくりん」化してくるころ、「最後の木」と思って少し太めの枝を右手で持ち、慣れない左手でノコをひいていたら、いきなりその「最後の太めの枝」が幹から、あ!!っと離脱し、右手にその太めの枝、左手に両刃ノコを握りしめたまま、ボクは3メーター下の地面に背面から落下してしまった!! ドスン!!っとマンガじみた音がしたと人ごとのように思っていたら、ボクの胴体スレスレの右側に高さ30センチくらいの切り残しの太めの木が垂直に在った!!! ボクの背面から内臓を突き抜けるにちょうどよい見事な切り口、太さ、長さ!!! 長い時間呼吸ができぬ程の時間停止のオドロキのシーン!!! あと数センチ右側に落下していたら、ボクの切り残したあの木に自ら串刺しになり、もし背骨に刺さっていたら、下半身不随!!!
 もうこれ以上ワシの育てた木を切るな!!! という、あの世からの父の警告 かもしれないし、逆に、あの世からボクのイノチを護ってくれたのかもしれない。その父の真意はわからないけど、ドスン!!っと大地に落下したその時間停止の驚愕の瞬間、なにか、「過去が活き還り、過去に活かされ、過去を活きている!!」と体悟したのが、いままでにない妙なる摩訶不思議感覚だったな。
 宇宙構造の中で「暗黒エネルギー」なるものが、今、72.6%占め膨らみ加速していて、この未知なる「暗黒エネルギー」なるものが宇宙のイノチを決定してゆくのだ、という最新科学情報を耳にしたけど、もしかして、この「暗黒エネルギー」とやらは実は「あの世」のことで、ヒト内部の小宇宙(アートマン)とヒト外部の大宇宙(ブラフマン)が、時空を超えて、あ!!っと交差感応し合ってる宇宙構造なのでは??? 奇跡的にイノチ拾いしたばかりのボクの「良性妄想」が、あの宇宙のように膨らみ加速してゆく。


    禁酒10日目、禁煙6日目、禁断エクスタシー中のとろんより。

プロフィール

とろん
1969年高校卒業直後、フランス郵船に乗ってインドに上陸し地球放浪をはじめる。帰国後、専門学校、大学、夫などを中退しながらも、旅と文筆とライブ活動を続行。50歳(2001年)からタイ北部の山間の町「PAI」にベースを移し、村創りをはじめる。現在、2012年12月から108日間の祭り(たましいのかくじっけん)第2弾を想定しながら、桃源郷「NEW MOON VILLAGE」を創作中。著書に『純粋単細胞的思考』『まるだしのエクスタシー』『とろんのダイジョーぶ経典(スートラ)』(共に、晩聲社)がある。
・とろんのホームページ

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