高橋優

時代の潮流を鋭く抉るリアルタイムシンガーソングライターの素顔

 ポータルサイト『北海道人』をご覧の皆さん、こんにちは。札幌発の音楽情報WEBマガジン【SAPPORO MUSIC NAKED】編集長の橋場です。『北海道人』では、月に一度、【SAPPORO MUSIC NAKED 〜hokkaido-jin edition〜】として素敵なミュージシャンの魅力をお伝えしてきましたが、3月いっぱいでこのコーナーも終了することになりました。残り2回、どうぞよろしくお願いいたします。

 秋田県出身の少年は、姉が北海道で暮らすようになったことから、北海道へ来る機会が増えました。そして、大学進学のタイミングで、札幌で暮らしはじめます。高校時代から書き溜めていたオリジナル曲を披露するために衝動的に狸小路へ飛び出し、ストリートミュージシャン生活がスタート……数年後、この狸小路での音楽活動が、今回ご紹介するアーティスト・高橋優さんの人生を変えることになります。
 大学時代、高橋さんは学業と音楽活動を両立していました。昼間は大学で勉学に励み、平日はバイト、土曜日は狸小路でストリートミュージシャンとして活動するという日々がつづきました。ストリートミュージシャンのなかには、有名アーティストの楽曲をリクエストで歌っている方もたくさん見受けられますが、高橋さんは「カバーはオリジナルのアーティストを追っかけているフォロワーみたいに思われるのが凄く悔しくて、『似ている曲ならあるのでこれでどうですか?』と言って別の曲を歌って文句を言われていました(笑)」というスタンスで、オリジナル曲を歌いつづけていました。
 そして人生の岐路となる日がやって来ます。
 「ちょうど休みの日にSNS経由で『優くんのことはある人から聴きました。今度ライブをやるんですが空きが出たので出ませんか? トリのバンドが注目されていて、音楽会社の方も見に来ますのでマイナスにはならないと思います』というメッセージが届いたので出ることにしたんです。2〜3曲でいいと言われたんですが、5曲歌って借りたギターの弦も切っちゃたんです(苦笑)。そのハチャメチャなライブを見に来ていた、今の所属事務所の人から名刺をもらったことがきっかけで、東京に行くことになりました。全部が偶然だったんですよね」
 軽い気持ちで出演したイベントライブでのパフォーマンスが東京の音楽会社の目に留まり、上京することに。そして、2010年7月に「素晴らしき日常」でメジャーデビュー。出身地こそ秋田県ですが、ミュージシャンとしてのスタートは北海道、と言い切る高橋さんは今年5月に初のワンマンホールツアーに挑みます。しかもそのツアー初日5月25日(金)のライブは、札幌・教育文化会館大ホールで行われるのです。
 「はじめて路上ライブをした街、プロになると決意した街で、ホールツアーを迎えられるというのは凄く幸せだと思います。路上ライブの時に感じた『立ち止まってもらえるってありがたい』という気持ちで、ステージに臨みたいと思っています」
 もしかしたら高橋さんが狸小路で歌いはじめたのは必然だったのかもしれません。その後、多くの偶然が起き、狸小路から飛び立っていったミュージシャンが大きく成長し、教育文化会館大ホールという大舞台に立ちます。そのリアリティ溢れる歌詞から、「リアルタイムシンガーソングライター」というニックネームを持つ高橋さん。5月25日、私たちは時代の潮流を鋭く抉る高橋さんの歌声から、狸小路時代からつづく音楽への想いを知ることになるでしょう。

【ライブ情報】

・「高橋優全国ツアー〜この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012」
 2012.5.25(金) 札幌・教育文化会館大ホール(開場18:30・開演19:00)

 ■オフィシャルHP:http://www.takahashiyu.com/


プロフィール

橋場 了吾(はしば りょうご)
1975年札幌市生まれ。1998年同志社大学卒業後、札幌テレビ放送入社。ラジオディレクターとして「日高晤郎ショー」「ライブスピカ」等を担当。2005年同社を退社。以後広告制作プロダクションなどを経て、2008年株式会社アールアンドアールを設立し、札幌発の音楽情報WEBマガジン「SAPPORO MUSIC NAKED」を立ち上げる。「音楽で北海道を元気にする」を信条に、札幌にやって来たミュージシャンの取材をつづけている。

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